背景
2020年に策定された第4期消費者基本計画から、その後の状況を踏まえた第5期消費者基本計画の素案が作成されました。1/23締め切りで、パブリックコメントを募集中、WEBからの投入可です。
消費者基本計画素案
素案ファイルを詳しく見てもらえればと思います。消費者基本計画なので、当然マルチ商法のみではなく、消費者に関する現状と課題、消費者政策案などが記載されています。これら基本計画に基づき省庁が取り組みやKPIを決めて実行に移していきます。
マルチ商法の観点から言うと、2020年策定の第4期消費者基本計画では、基本的に「悪質商法等」などの表現に終始されていました。
第5期の素案P44では明確に「マルチ商法・悪質な勧誘等への対応」「法執行の実効性向上やそのためのリソース確保」などと、踏み込んだ記載がされています。具体的内容は下記です。マルチ商法に関して主に書かれているのはこの箇所がメインです。
大事なことなのでもう1度。マルチ商法の観点から言うと、2020年策定の第4期消費者基本計画では、基本的に「悪質商法等」などの表現に終始されていました。それが今回は悪質商法への対処の中でマルチ商法に関して論じられています。
つまり、マルチ商法が悪質商法であると明記されていると考えて良いと思います。
これは素晴らしいです。これまでの各団体や政府の取り組みのお陰だと思います。
ただ、私が日頃より主張するマルチ会員家族の問題にまで踏み込むことはできていません。
パブコメ投入方法
HPから、①意見募集要領の閲覧 ②「意見募集要領の全部を確認しました」にチェック ③「意見入力へ」から、直接書き込んで送ることが可能です。
簡単です!マルチ被害をなくす会として、ライオ個人として私も声を上げたいと思います。
もちろんみなさまの意見そのままで結構ですが、参考まで。
パブコメ案
1.該当箇所:P33、23行目、4章
・意見:マルチ商法の消費者教育・注意喚起において、現在主流となっている勧誘への注意喚起や金銭トラブルだけでなく、より多角的に、よりリアルに、マルチ商法の危険性を伝えてもらいたい。
・理由:マルチ商法に関するトラブルは金銭トラブルだけでなく、マインドコントロールや家族関係の破綻なども多く存在する。消費者庁が挙げた被害者インタビューのような事例※1を多く収集し、危険性をどんどん伝えてもらいたい。
※参考:1.マルチ商法被害者インタビュー:https://www.caa.go.jp/.../consumer.../nurture/movie_010
2.該当箇所:P44、28行目、4章
・意見:法執行の実効性向上、ならびにそれを実現するためのリソースの確保や専門性向上に向けた取り組みに大いに賛成する
・理由:現状、相談件数90 万件前後に対し、特商法に係る処分件数は100 件程度とごくわずかである。2023年3 月16日の会見で長官から特商法の処分の「件数が増えることが、いいことなのか」との発言があったが、被害者本人が洗脳された状態で消費者相談センターや警察による対応が困難※1な中で、更なる被害拡大を防ぎたい一心で通報・相談しているマルチ被害者の家族としては強い憤りを覚える。いわゆる「ものなしマルチ」被害による若者の自死事件が大きく報じられている※2ことも重く受け止めるべき。
※参考:
1.マルチ被害をなくす会 被害事例:https://www.multi.black/blog/categories/kaiin-shinzoku
3.該当箇所:P44、32行目、4章
・意見:マルチ商法/連鎖販売取引を全面禁止としてもらいたい。
・理由:良い商品であったとしても物販などの手法が存在する中、マルチ商法・連鎖販売取引の形態が残存する理由が分からない。会員本人が自死してしまうケースに加えて、直近ではマルチ2世という親が会員で長年虐待などで苦しんでいるケースが散見されている。マインドコントロールされた親との日常の会話は成り立たず、説得も通じない。奨学金やため込んだお金は取られ、親族内で金を無心されるケースも多々発生する。標準治療の拒否など身体的被害に直結することもある。また、これらの親族の被害事例はマルチ事業者に寄らず、いずれの事業者からも報告されている。当会はLINEを使った匿名のオープンチャットによる相談を受け付けているが、参加者は2025年1月19日現在で223名を数え、日々会員とのやり取りに対する不安や苦しみが共有されている。会員本人および会員の周りの親族(子ども、親、パートナー、きょうだい)を不幸にするビジネスであり、存在する必要がないと考えるため。
※参考:
-消費者法ニュース マルチ商法の家族被害特集:https://clnn.org/archives/tokushu/multi-level-marketing
-マルチ被害をなくす会 被害事例:https://www.multi.black/blog/categories/kaiin-shinzoku
-マルチ被害をなくす会 提言資料:https://www.multi.black/.../3fb918...
4.該当箇所:P44、32行目、4章
・意見:マルチ商法が悪質商法の中に記載されていることに大いに賛成する。国としてマルチ商法が、マルチ事業者に寄らず悪質商法であるとの姿勢を示し、社会的認知を明確に確立させてほしい。
・理由:著名人がマルチ事業者主催のイベントで登壇するケースがある。また、北村晴男氏も自身のYouTubeでコメントとして「ネットワークビジネスは、商品さえよければ大変有望なビジネス」などと発言※1し、その発言を現役マルチ商法会員が引用し自社の正当性を主張するケースが散見される。こうした著名人による発信は、マルチ商法自体を信頼することにつながるため、非常に危険だと思われる。
※参考:1.北村晴男氏YouTube(5分13秒付近)」:https://www.youtube.com/watch?v=yWXjj0n27GQ&t=7s)
5 該当箇所:P44、32行目、4章
・意見:議員とマルチ商法とのつながりを排除してほしい
・理由:日本維新の会に所属の伊東信久議員は過去アイテックインターナショナルというマルチ事業者主催の集会で開発者の1人として講演していた※1。そのような疑いのある議員が消費者問題に関する特別委員会にて理事の役職に就いていることに対して、断固として反対する。
※参考:1.維新議員、マルチ商法で取引停止命令を受けた会社の集会で講演し報酬:https://www.asahi.com/articles/ASPDG51XYPCZUTIL058.html
6.該当箇所:P45、1行目、4章
・意見:親がマルチ商法会員の場合(マルチ2世)、児童虐待のケースが散見されるため、対処策を検討願う。
・理由:マルチ2世は宗教2世問題のように、「お金を無心される」「標準治療を受けさせない」などといった被害が発生する※1,2。中には会員からの性被害の事例※3も存在するため。
※参考:
-1.毎日新聞 マルチ2世連載:https://mainichi.jp/multinisei
-2.AERA dot.マルチ2世特集:https://dot.asahi.com/.../%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%EF...
-3.マルチ被害をなくす会 インタビュー(性被害):https://www.multi.black/post/vol13-haha-amway
7 該当箇所:P45、1行目、4章
・意見:現状の消費生活センターを中心とした相談・被害の内容や件数等の分析ならびに対策検討では不十分であり、マルチ商法会員の親族向けの専用の相談窓口を設置し、会員親族の被害事例を収集し、改善に向けた伴走支援を行ってもらいたい
・理由:マルチ被害者本人は洗脳されて被害の自覚がなかったり、忠告に耳を傾けてもらえない状態であったりすることが多い。2021 年のマルチ取引に係る約8000 件の苦情・相談のうち、家族など本人以外による苦情・相談が4 分の1を占める※1が、消費生活センターは会員本人の契約に関する相談解決が主であり、本人以外が消費者相談センター(や警察)に相談しても「本人の協力が必要」などと言われてしまい、解決につながらないのが現状(PIO-NET の件数のみならず相談結果の確認・分析が必要)※2。またマルチ商法対応は専門性・特殊性が顕著である。このため、基本計画でいう「実効的な対策」として、マルチ被害者の家族を中心とした第三者向け伴走支援窓口の設置がぜひとも必要である。
※参考:
-1.令和5 年3 月30 日衆議院消費者問題に関する特別委員会コメント(3h16m 付近)https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54479&media_type=
-2.マルチ取引会員家族からの消費生活相談の現状と課題:https://note.com/syoyuri/n/n61bf5d7049eb
-3.住田浩史ほか「消費者は弱くてもろい、だからこそ強くなれる: 守られる存在から、立ち上がる消費者になるためのヒント」:http://www.amazon.co.jp/dp/4877988718
8.該当箇所:P45、4行目、4章
・意見:金融商品取引業違反疑いのある事業者ならびに責任者について、仮に逮捕したとしてもその後の実態把握を適切に行うとともに、罰則を強化し、被害拡大の防止を徹底してもらいたい
・理由:がん患者向けにがん治療に効果がある医薬品の開発のために自社の未公開株をマルチ商法の形態で販売したウィンメディックス社の代表2名が金融商法取引法違反の疑いで逮捕された。しかしながら、株式会社ME.Linkと名前を変えてセミナー開催を続けており、今後も被害が継続する可能性があるため。
※参考:
-無登録で株式80億円販売か 「がんに効く飲料水を開発」と触れ込み:https://www.asahi.com/articles/ASR394QFPR39UTIL009.html
-株式売り上げを「寄付金」と仮装容疑 無登録販売の摘発免れる目的か:https://www.asahi.com/articles/ASR5240ZFR52UTIL002.html
おわりに
大事なのはまずは私や閲覧いただいたあなた、それぞれが声を上げることです。
マルチ商法への取り組み(法執行強化)などへ賛成の意を表明するだけでも、意味はあると思います。
何とか動きを起こしていきたいです。ご協力よろしくお願いします!
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