• Rio

Vol#13 私の母はアムウェイに殺され死んだと思っている

プロフィール

  • インタビュー相手:20代女性

  • インタビュー時期:2022.10

  • マルチ商法との関係:母が現役アムウェイ会員(10年以上)


被害事例

私が小学生の頃、私の母はアムウェイ社の製品にハマりました。


きっかけは母がかかった子宮の病気です。心が弱っている時にアムウェイ社の勧誘を受け信じ込んでしまいました。勧誘してきたのは隣のおばさんだったと思います。


母は隣のおばさんに「病気になるのは栄養が足りないからだ」とか、「ここらへんの水は農薬が混ざっているから、浄水器なしで飲むと病気になる」などと言われていたようでした。


この頃から母はアムウェイ社のサプリメントやプロテインを飲み始めるようになります。


私にも「今が体を作る大事な時だから」と血走った目で与えるようになりました。


料理もアムウェイ社の鍋と携帯式のIHコンロでしか作ってくれないようになって、毎日食卓に変な料理が並ぶのが苦痛でたまりませんでした。


また、ほとんど毎晩家を空けるようになって、寂しい思いもしました。


学校でトラブルがあっても相談できる相手がいないんです。


田舎のアムウェイ社信者は公民館でデモパーティーをやっています。

山奥に信者の上の方の人が建てた別荘もあってそこにも母は通っているようでした。


この頃私が感じていた事は「お母さんが元気になってよかった」という事が大半を占めていました。


「普通の家庭で出るご飯を食べたい」「元のお母さんに戻って欲しい」という気持ちはもちろんありましたが、「お母さんからアムウェイ社を取り上げたらまた壊れてしまう」という恐怖心でそんな事は言い出せませんでした。


この頃の私は、そんな自分の母への甘さが、自分の尊厳を奪う事になるとは思ってもみなかったのです。


私が17才くらいの頃、近所にアムウェイ社信者の整体師が来ると母から話され、連れていかれる事になりました。


母は男性整体師に向かって、他の信者のおばさん達と違い、腰痛も肩の痛みもない私の悪い所を「胸が離れている所」だと言いました。


そうして私は母や他のアムウェイ社信者の見守るその前で、男性整体師から胸を触られる事になりました。


もちろん止める人なんていません。


何度も何度も触られ、嫌だとは感じるのですが、母がお金を払っているので抵抗する事も出来ず、結局施術は胸を触られるだけで終わってしまいました。


その頃の私は純粋過ぎて、翌日友人に話してセクハラだと言われるまで自分が辱めを受けた事に気づく事はありませんでした。


この事件がきっかけで私はアムウェイ社に対して反感を抱くようになります。


従順な娘に対する母の勧誘行為が激しくなるのも同時期でした。


母は別荘のデモパーティーに私を連れて行くようになったんです。


デモパーティーは次の流れで進んでいきます。

まず、「夢があるか」と聞かれるんです。

私は教えてやるもんかと思い、「ない」と答えました。


しかしそうすると、「それは貴方に夢を考える余裕がないからだ」と言われるんですね。


次にアムウェイ社信者は「お金と時間、どちらが欲しいか」と聞いてきます。私は「お金」と答えました。


すると、アムウェイ社信者は言います。

「それは貴方にお金がないからだ。お金があると時間が惜しくなる。私のようにね」と。


掴みが終わったらアムウェイ社信者は人生を春夏秋冬で表し始めました。

蟻とキリギリスの話のように、春と夏と秋は過ごしやすくとも、その間に準備をしていなければ冬に苦労すると話すんです。


聞いている者の恐怖を煽った所で、次はアムウェイ社の洗剤の宣伝です。

雑巾に油性マジックで落書きしてそれを洗剤で落としてみせるんですね。


すると高い声で「まあ凄い!」と母が言います。


そして壇上に立っているアムウェイ社信者は聞いてきます。

「アムウェイ社商品が素晴らしい事は分かったか」と。

私が勢いに負けてこくんと頷いてみせると、その男は別の気難しそうなおじさんに聞きました。


「アムウェイ社商品が素晴らしい事は分かったか」


おじさんはきっぱりと答えました。「分からない」と。


そしたらその男は突き放したようにこう言うんです。「あなたは帰ってよろしい」と。


「このデモパーティーには周りの幸せになって欲しい人しか連れてくるなと言ってある。それがわからない人は帰って大丈夫です」


と男性信者は言いました。おじさんは黙ってしまったので、信者は話を続けます。


壇上に母が呼ばれて、母は涙ながらにこう語りました。


「私には子供に残せる物が何もない。でもアムウェイ社での功績は子供に残せる」


私は母が私達の為にアムウェイ社に入ったのだと思い込みました。

でもそれと私がアムウェイ社信者になる事は別問題だよなと考えたので、辱めと屈辱を受けた仕返しをする事にしたのです。


デモパーティーには何度も連れていかれて同じ話をされたので、あるとき私は「アムウェイ社商品のいい所が分からない人は帰って大丈夫です」という話の流れになるまで待ちました。


そして、その話題になった瞬間立って部屋を出て行ってやったのです。信者達のポカンと口を開けた顔が思い出せます。まさか本当に出て行く者がいるとは思わなかったのでしょう。


これがきっかけで母は信者達と気まずくなり、パーティーには出れなくなりました。


ですがアムウェイ社商品に対する情熱は相変わらずで、私が社会人になって家を離れてからは、毎週アムウェイ社の素晴らしさをLINEで送ってくるんです。


会社の寮に付けられた浄水器の青い光のせいで、夜眠れず不眠気味にもなりました。


結婚した際に浄水器は返してやりましたが、母の裏切りはこれでは止まりません。


結婚して1年程経った頃、私にも母と同じような子宮の病気が見つかりました。


まだ軽度で経過観察すればいい程度でしたが、私は同じ病気にかかった母に相談する事にしました。


しかし、母の返答は「浄水器を付けなかったから病気になった」というものでした。

今からでも遅くない浄水器を、と話を続ける母にとうとう私は堪忍袋の緒が切れてしまったんです。


「身内をカモにするような母親はいらない」


そうメッセージを送って、私は母の全連絡先をブロックしました。


連絡は一切取っていませんし着信拒否など連絡できないようにしています。家族仲が悪いためか、仲介するような親族もいません。


それで終わると思っていたんですが、もっとうまく母と接せなかったのか、と悩む事になり、結局鬱になってしまいました。


会社を休職して、薬を飲みながらゆっくり休んだ事で回復していきました。


消費生活センターには相談していません。


回復しつつある今は、「私の母はアムウェイ社に殺され死んだ」と思う事にしています。


連絡を断ったおかげでだいぶ感情が整理できてきました。


なお、兄は母から勧誘され会員になっていましたが、要領のいい人なので誰も勧誘していません。

母が亡くなった後の遺産としてアムウェイ社の功績をもらうつもりのようです。


他の親族については、危機感が薄く、私の父や親族も全く母の勧誘活動等を問題視しておりません。


私は大人になって逃げれたのでいいんですが、経済的精神的な理由で親から離れられない子供が被害に遭っていると思うと怒りがわいてきます。


私も自分だけじゃないんだと思えたのは一つの救いでした。ありがとうございます。


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