• Rio

Vol#0 母がA社にハマった30年。離婚・絶縁・借金により家庭は崩壊した

更新日:10月14日

プロフィール

マルチ被害をなくす会を運営しています、Rio(ライオ)と申します。

母が現役のマルチ商法販売員(歴30年以上)です。

  • Rio(30代男性)

  • マルチ商法との関係:母が現役会員(30年程度)

  • 会社(A社):日用品など幅広く提供。立ち上げから30年以上

  • その他、家族構成は下図参照


母がマルチ会員に

母が入会したきっかけは、あまりに昔のことで親族誰も覚えていません。

父のメモによると、私は生まれていない頃。


アップMと知り合い「自分のお小遣いで少しだけ買って良いか?」と聞かれて、父は了承したそうです。


私が小さかった頃は、私から見える限りマルチによる被害は特段記憶にありません。

小学生の頃は、周りの友達を一斉に家に集めて誕生パーティーを行ったり、毎年1回は家族旅行に行ったり。そんな幸せな家庭でした。



様子に変化が見られたのは、会員になって10年ほど経った私が小学校高学年の頃。


母は祖父母も暮らせるような2世帯住宅に住みたい、と夢を語るようになり、数千万円する新居を多額のローンを組んで建てることになりました。


この頃からしきりに

北海道へ旅行に連れて行ってあげる

海外旅行へ連れて行ってあげる

などと言われるようになりました。


新居も旅行の話にもワクワクしていました。

※マルチ商法に関する話を聞くようになって思うのは、母も夢を語るよう言われていたのだろうと想像します


新居への入居後母はA社の海外本社へ視察に行き、そこからマルチ商法にのめりこんでいきます。

引っ越し作業で身体を痛めたことで、労働せず収入を得ることに希望を抱いたのも背景の1つです。


家の中の製品はほとんどがA社製品になりました。

浄水器・空気清浄機・鍋・サプリメント・調味料・洗剤などなど。


親族に関して最初にトラブルになったのは父および姑です。


ここからは父に聞いた話ですが、母は空気清浄機2台を姑に贈りたいと言い出しました。

しかし父に反対され姑に断られ、相当不満に思っていたそうです。


母は姑の悪口を頻繁に言うようになりました。


その後、父にもA社ビジネスを一緒に手伝うようにお願いし、2人で一緒に毎週水曜日夜20-23時頃まで、ミーティングに参加するようになりました。

家でもデモンストレーションやマーケティングの練習、土日は父の仕事のお客さまのところへ足を運び、来月の目標設定はいくらにするの?等と話があったそうです。


さらに追い打ちをかけるように父の勤め先が経営破綻しました。


マルチ商法による不仲も相まって両親は喧嘩の毎日。子どもながらに両親の離婚は時間の問題だと思っていました。



学生時代

昨今の旧統一教会の問題を受けてカルト宗教2世の被害が取り上げられているので、マルチ商法2世の身として、子どもの頃に辛かったことを少し記憶にたどらせて書いてみます。


①毎食のサプリメント、プロテイン

これがおいしくありませんでした。

いつも嗚咽をしながら飲んでいました。

他のきょうだいが飲みたくなくて隠れて捨てていたこともありましたが、見つかって母から怒鳴られている様子も見てきたので、私は反発もしませんでした。


②食事

鍋のセットで料理は基本的に賄えるという謳い文句なので、ご飯も鍋で炊いていました。

炊飯器はなく、電子レンジも使わなかったため(電磁波が身体に悪いという話を信用してだと思います。私が大学生の頃、使っていた電子レンジを無理矢理実家に置いたこともありましたが使ってもらえませんでした)、鍋で炊いたご飯が冷めてしまった後は、冷たいご飯か、鍋で炒め直したご飯を食べていました(焦げやすいんですよ)。

私は炒めたご飯ではなく温かい普通の白いご飯を食べたかったです。


③金銭

本当にお金がなかったので、お小遣いは家を購入した後はありませんでした。

基本的に物はきょうだいのお下がり。

部活のグッズも友人にもらったものを使っていました。少し惨めだったかなぐらいです。

親から買ってもらったものは本当に記憶に残っているのですが、中学生以降では野球のバットと正月の集まりで無理矢理買わされたジャンパーぐらい。

家族での外食は皆無でした。

一方で習い事は沢山していたこともあり、必要なお金は出してもらっていました。


ちなみに母は私の友人の親や習い事の先生も勧誘していました。

ただし、その結果私が誰かと仲が悪くなることは私の記憶の範囲では特にありませんでした。


―――

この状況をどう捉えるかはお読みいただいた方に委ねます。

私の話は20年ほど前の話です。

母は本業もありましたしそこまで近所で評判が悪かったわけではなかったので、周りの勧誘された方も母のマルチに関してはね…、というぐらいの大人な反応をしてくれていたのではないかと思います。

私自身が苦しかったのは成人後なので、子どもの頃どれだけ苦しんでいたかと言われると少し疑問符がつきます。

加えて、末っ子だった私の目から見える範囲です。

後にも出てきますが、姉は姉で全然違った見え方をしています。

その人の健康状態や、続柄や性別、会員との関係性などによっても見え方は全然違いますし苦労も異なります。


何故ここでコメントしたかというと、他の方へのインタビューを通しても親族の中で特定の方が苦しむことが多いと感じているからです。

(親族に対してさえもあまり話せていない方も多くいらっしゃいます)


もしかしたら同じマルチ会員の親族の中で特定の人に負担がいっているかもしれない、そう思って少しでも親族の間で話してもらえると、自分が知らない事実が出てくるやもしれません。

救われる親族が出てくるかもしれません。

そんなことを願っているため、私以外の親族の関係も含めて私はまとめることを心がけています。


マルチ商法は成人以上が会員になれるため、カルト宗教で見られる幼い頃からの被害とは少しばかり異なると考えています。

もちろん幼い頃から被害を受けている方もいますので、あくまで一例として見てください。

色々な方の証言を集めたいと思っています。

そもそもマルチ商法2世の方の詳細な被害事例はほとんど語られていないため、比較ができず客観視ができないことも背景にあると思います。


(参考:マルチ商法2世記事)

―――



話が脱線してしまいました。


そんな中、高校受験を控えていた私は母から勧められ祖父母の家の近くの高校に通うことに。

祖父母のことは大好きでしたし、学区の面でも良かったこと、家族のいざこざから離れられることから、3年間は祖父母の自宅から通うことにしました。


高校3年間、その間もさらに泥沼になっていた両親の状況を耳にすることなく、祖父母の愛情を一心に受けて育ちました。

高額な塾の費用を祖父母に出してもらい、愛され、大切に育ててもらいました。

この時間がなければ今の私はありません。祖父母には一生感謝しています。


ちなみに同時期には姉と兄もそれぞれ実家と距離を取りながら生活をしていました。


そして末っ子だった私が大学に入学し学費の目途も見えたことから、両親は離婚しました。

家庭裁判所での裁判に加え探偵に依頼するなど、色々ありました。

離婚の原因は、マルチによる不仲およびそれをきっかけとした不倫です。


子どもたちは母に引き取られ、家のローンは母が継続的に支払うことになりました。



マルチに関しては、浄水器などの製品を1人暮らしの家に持っていかされました。

フィルターの交換費用は高額ですし、1人暮らしのキッチンに置くにはスペースが狭すぎるためほぼ使っていませんでした。


また大学入学祝いと称してほとんど面識のないMから製品をもらい、ホームパーティーに連れられました。

母はMを崇拝しており、普段からMにお世話になっていると頻繁に話が出てきますが、私は記憶の範囲では2回しか会っておらず、残念ながら母をマインドコントロールした人物として嫌気しかありません。


つい最近も「Mさんは私にとって大切な方ですので、くれぐれもよろしくお願いしますね。M先生(Mさんの夫で医者)の栄養の話が、私の栄養学の基礎です。感謝しかありません」

と言っていました。母は私に釘を刺したかったのでしょうか。


その後も、母はマルチで一向に稼ぐことはできず、ローンに苦しめられる日々。

私の奨学金の一部や、3人の子どものお年玉などの貯金も、ローン返済に消えました。



社会人

私が社会人になった後は、借金を定期的に求められるようになりました。

兄は毎月一定額を渡していましたが、私は求められたときにのみ入れることにしていました。


渡し続けると見境なく要求してくることは目に見えていたので、定期的に入れることだけは拒んでいました。


その額は子どもの頃の貯金とは別で、きょうだいで合計1000万円(私が300万円、兄は700万円)ほど。今に至るまで返してもらっておらず、私たちも返済を求めていません。

家の新築に当たっては義理の両親や母の両親からも借金をしていましたので、親族全体でお金には本当に困らされました。


私自身この頃は半ば諦めの境地におり、揉め事を避けるために母から求められたら支払わざるを得ないという感覚でした。


母からはよく手紙も来ていました。

しかし、誕生日おめでとうなどの話に始まったかと思ったら、後半は健康の重要性やサプリメント・浄水器の必要性などが書かれていたり、Mがチームメンバーに配っている健康だよりが封入されていたり、母が他者にプレゼンする用の紙が入っていたり。


母の頭の中にはマルチしかないんだといつも感じていました。



実家を離れて就職していましたが、ある日帰省した際母から「友人に会ってほしい」と連れられました。

少し嫌な予感がしたのですが、出会ったのは母の高校の同級生。

一緒に食事をしました。


それで解散かと思っていたところ、連れられたのはMの息子が経営するクリニック。

休日のクリニックの受付を使ったA社ミーティングでした。

騙された、、と思いました。


その時の話は正直あまり覚えていません。

参加者は10名ほど。明らかに現役のA社会員でした。

働かなくても自動的に収入が得られるような仕組みの必要性(権利収入など)やDVD鑑賞、最後に各参加者からのイベントを経て感じた今後の宣言、といった構成でした。


最後の各参加者からの宣言では、A社に対する想いや今後のめざす姿をそれぞれが語っていたと思います。

初めてのミーティング参加でしたが、本当に気持ち悪い光景でした。

私にも宣言を求められたので、株式投資などに読み替えて権利収入の必要性は理解できるといった話をした記憶があります。



結婚

その後私は結婚。


結婚式の前日実家に泊まった際、母からマルチの会員になってもらえないかと誘われました。

こんなタイミングで言わないでくれよと心底思いました。

料金体系を説明されましたが、元々母を見てきてマルチ商法を嫌っていますしタイミングも相まって頭に入りませんでした。


もっと結婚式や相手の話など、普通の話をしたかったのですが残念です。

結婚式に支障をきたしたくなかったためそこでサインをしました。

ただし、その後も製品を特に購入していなかったため、年会費が嫌で1年後に解約しました。


母は以前から成人した私の友人を家に呼び、料理教室やA社のデモをよく行っていました。


結婚後は必ず自分の妻も誘われてしまうと思ったので、1人で実家に行かせることは絶対に避けなければいけないと思っていました。

母は妻とも直接連絡を取りたがったため、「マルチに関する話をする際には絶対に自分を通せ」と母に伝えました。


母から妻にその後直接連絡が行くことはなかったので良かったのですが、母からすると妻の印象はよくありません。

ですが、これが妻を守る唯一の方法だと思っていましたし今もそう思っています。

父も離婚している中、このような家系で妻や子どもには申し訳ない気持ちでいっぱいです。


それからも、機を見ては母から借金を求められる日が続きました。


「今月10万円ほどまたお願いします」

そんな感じで、当たり前のように求められていました。

結婚後は自分1人のお金ではなくなったので、「また求められた、どうしよう」と妻とも相談するようになりました。


流石に私もいつまでも支払い続けるわけにはいかないと思っていたので、「100-200万円ほどの額を一括で渡して今後一切貸さないと言ってはどうか」と妻に持ち掛けるぐらい、私の金銭感覚も麻痺していました。

兄からも「自分はもっと入れているからお前にも入れてもらいたい」などと言われていたので、やむなしだと考えていたこともあります。

これは母から私たち子どもがマインドコントロールされていたのだと思います。


これではいけないと、私はカウンセリングを受けることになりました。


妻と2人でカウンセラーを訪問し、家庭の事情を話しました。

衝撃だったのは、最後に「それはあなたの母が悪い」と言われたことです。


自分でも薄々異常な状態であったことには気づいていましたが、自分で致し方ないと決めてお金を出している状況でもありました。

加えて、マルチ商法を除くと母には当然親に対する感謝もあったので、親を否定する発想を持つことができませんでした。

妻からではない第三者が聞いてもこの状況はおかしかったと初めて認めてもらえた気がして、肩の荷が下りた感覚になり、涙が止まりませんでした。



実家売却

カウンセラーの話を受けて、金銭トラブルに関する根本解決を図ることにしました。


金銭トラブルの主な原因は家のローンであることがはっきりしていたため、母に内緒できょうだい・祖父母・叔母に相談し、家を売却させる決断を求めることにしました。


母の強い思い入れがある家であり、売却に反対することは容易に想像できたため、きょうだい間で数か月かけて事前準備を行いました。


母のマルチを含めた収入状況の把握、実家の査定額、将来のお金のシミュレーション、家を売却した後の移住先候補、当日の進行のシミュレーション、マルチに対する子どもたち各々のスタンス、など。


子どもからの説得だけでは難しい可能性もあったため、祖父母・叔母夫婦にも同席してもらいました。

(ただし、家庭の問題に叔母夫婦が介入することを母は嫌がっていたため、叔母夫婦が来ることを母に黙っておくなど色々な準備をしました)


話し合いの場での母の説得には本当に苦労しました。

昔からそうなのですが論理的な説明は通じず、最終的には感情的になり激昂され様々な行動に出られることが多くありました。

そうして危険を感じた子どもが謝るなど、子どもに反対させないような手法を何度も取ってきました。

その日も事実を丁寧に冷静に説明しましたが、話は平行線。

感情を出して涙ながらに説得をしても受け入れてもらえない。

そこで母は売却に対して何を気にしているのかを聞き出しました。

母が懸念していたのは、父と離婚調停時に決めた約束事を破ることになるのではないか、父からお金を請求されるのではないかという点でした。

最終的に、離婚した父へその場で電話し言質をとり母の懸念点を払しょくしたことで何とか家を売却する決断に至りました。


その後、母は売却によって得たお金で小さなマンションに移り、借金を求めてくることはなくなりました。



母と姉の対立

同じ頃母と姉が対立。


母が姉にプレゼントしたA社製品を、姉が使わなかったことが原因でした。

その前からも姉は子どもを産んだ後体調が優れなかったこともあり、サプリメントをしっかり摂るよう常々言われていました。

姉は実家近くに住んでいて母との物理的な距離が非常に近かったこともトラブルを招いた要因の1つです。

加えて、私や兄以上に長女で同性である姉には母からのプレッシャーが人一倍強くありました。


母親は「なぜ商品のよさを分かってくれないのか」とかえって行動をエスカレートしていきました。

しまいには、「あなたでは子どもは育てられない、孫は自分が育てる」などと言って学校帰りの姉の子どもに、自分の家に来るように手紙を残していきました。


姉はその行動に対し、自身の子どもを誘拐されそうになったと感じ警察に駆け込む事態に。

その後、A社のビジネスを続ける限りは会わないと絶縁の選択肢を取りました。


母からするとそこまでの意図はなかったのかもしれません。

ただし、コミュニケーションは受け手が決めます。

絶縁をしないと自分の家族を守れないというのが姉の判断でした。

このとき姉の絶縁に当たって仲裁に入ってくれたのも叔母でした。

姉は追い込まれていて母に直接伝えることもできなかったので、叔母夫婦が母に書面で姉に今後一切接触しないよう通達していました。

もちろんこの行動によって母も精神的にダメージを受けていますが、それほどまでしなければ何をしでかすか分からないというのが長年付き合ってきた周りの親族の決断でした。


当然叔母と母の関係も悪化し、叔母も精神的に追い詰められることとなりました。


母はそれでもマルチを辞めませんでしたが、姉とは絶縁、兄や私はそれほど干渉しなかったため、その後はいびつながらも平穏な日々が続きました。



遺産相続

2020年12月。

母方の祖父が亡くなりました。


祖母も高齢なので、叔母と母が連携して手続きを進める姿を見て、やっと親族問題は良い方向に向かうのではないか、と安易に思っていました。


しかし、私は孫の立場で相続の話し合いに入っておらずまた聞きではありますが、ここでもトラブルに。


実家売却時、姉の絶縁時などにそれぞれ仲裁に入った叔母のことをよく思っていない母は、相続の中でもその話を持ち出し、他の母のきょうだいに自分が辛い状況に置かれていたことを主張。

目的は遺産ではなく「自身がいかに傷ついたかを理解してほしい。マルチ商法の製品によって両親の身体を労わってきた」という承認欲求を満たしたいがための行動でした。


当時の状況をあまり理解していない母のきょうだいは母を支援し、母のきょうだいの間で溝が深まる結果となりました。



社会課題であるとようやく認識

2021年、叔母から共有されたズュータンさんの本を読んで、母の発言や様子と酷似する状況を目の当たりにして衝撃を受けました。


例えば、布おむつを使わされたり(これは姉が子どもに対して使うよう求められていました)、水道管の中が錆びている写真を見せられて水の重要性を訴えられたり、炊飯器や電子レンジを使えなかったり。


丁寧に記された書籍を読んでようやく、母に関連した過去からの一連のトラブルはマルチ商法という仕組みによって生み出されたものだと認識しました。


もしマルチ会員の親族の方で読まれていない方がいらっしゃいましたら、是非お取りください。


そして、noteを使った自身の状況の棚卸を始めました。

自分は何が辛かったのか、どうしたいのかなどをまとめていました。

文章にすることで、少しずつ自身の考えが整理できてきてきました。


改めて自分の言葉で、A社の課題や元会員の声、デモンストレーションのからくりなどを母に伝えるようにしていました。

しかし、何一つ母には刺さりませんでした。


他の親族がずっとやってきたことでもあったので、自分が言ってもやはり通じないのかと身をもって体験できました。



2022年に入ってからは、A社に通報。

目的は母の会員権の強制はく奪。


私自身が母から受けた行為の中で特商法違反に該当しそうな行為を列挙し、詳細についてお話ししました。

通報に当たってはその後母に万が一のこともあるからと通報内容を慎重に検討し、親族にも事前に相談。

万が一私の名前が母に伝わると何が起こるか分からないため匿名で行いました。