Vol#1 大学生の息子が家出・借金。家族の分断を促す人は許せない。
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  • 執筆者の写真Rio

Vol#1 大学生の息子が家出・借金。家族の分断を促す人は許せない。

更新日:2022年10月14日

このような方にオススメ

  1. お子さまが会員の方 →親御さまとしての関わり方の参考になれば

  2. 10代・20代のお子さまを持たれる →マルチの危険性を理解するきっかけになれば


プロフィール

  • インタビュー相手 :Sさん(50代女性)

  • インタビュー時期 :2022.3

  • マルチ商法との関係 :大学生の息子さんが現役会員(2020.5~)

  • 会社(X社) :講義動画などを会員向けに提供し、立ち上げから5年程度


きっかけ

2020年5月。息子は当時大学2年生。

いつもの食卓で私と長女を前に、「Twitterで面白そうな連絡があった。話を聞いてみようかな」との話。


デリケートな年齢でもあり頭から拒絶するのもどうかと思い、気を付けてねとだけ伝える。


最初は週1回、夕刻から深夜にわたりアップのKからレクチャーを受け始め、数週間後X社の会員になったと伝えられる。


その後、ミーティングは週3回・5回と増えていった。


親として心配ではあったが、部屋から楽しげな明るい声が聞こえてきたので、悪い組織にかかわったわけではないのかもと、私たちはポジティブにとらえるようにしていた。


家族とは今までと変わらぬ態度で接し、会話もあったが、次第に家族のイベントにドタキャンしたり、夕食もミーティングを理由に一緒にとれない日々が増え、部屋にこもりがちになっていった。


家出

2020年9月。「来年から1年休学してビジネスに専念したい」と私に相談があった。


お父さんと一緒に話そうと促し、3人で話し合いの場を持った。


話し合いの場では、X社の概要や、収益化までの流れなどの説明を受けた。


夫は「MLM(その当時、息子はそう呼んでいた。その後MLMではないというようになる)はひとつのビジネスの形。やるなとは言わない。やるならビジネスの仕組みなどを学び、収益化できるようしっかりやれ。でも大学は卒業すること。両立してやりなさい。」


私は「MLMは友人関係が壊れた思い出があるから好きではない。でもやりたいのなら学業と両立を」と考えを示した。


息子はただ「分かった」と返事。


2020年10月。息子はX社主催の船上パーティーに出席した。

着用するスーツのアドバイスを求められるほど、直前は良好な親子関係だった。

息子は船上パーティー後に明け方までX社の幹部らしき人と話し、翌朝5時、家に戻ると、家族に何も告げないまま荷物を詰めて出ていった。


その後発見した置手紙には、「自分の人生を生きたい。もう連絡は取らない。もう学費は払わなくていい。」とあり、LINEもブロックされた。


警察に連絡し、成人しているのでできることは少ないと言われたが、捜索願を届け出た。


息子からの連絡

息子が生きているのか死んでいるのかも分からず心配な日々が続いた。


2か月ほどたった12月初旬、突然息子からLINEで連絡が入った。


そこには「お金も稼ぎながら元気にやっています。心配しないで」とのメッセージと、表彰式のような場面での息子の写真が添えられていた。


12月末、貯めてきた預金を振り込んで欲しいとの相談を受ける。


再会して話し合いの機会をもち、家出から連絡を取るまでの経緯を問うと、

「決意が揺らぐので家出し連絡を2か月間取らないと決めた。でも現在はビジネスが軌道に乗ったので親を安心させたいと連絡を取った。アップKのワンルームに居候していたが同じアパートに別の部屋を借りることにした。初期費用としてまとまったお金が必要」と。


ひとまず息子が元気にやっていることが分かり、息子から家族と今後は連絡をとっていきたいとの話もあったため、お金を振り込み、様子を見ることにした。


その後は月1回の頻度で帰省するようにもなった。


2021年3月。息子に招待され、夫婦で息子の住む関西を訪れた。


人気の観光地であるK市にある家賃3万円ほどのアパート。狭い一室には、目標や標語が壁一面に貼られ窓も覆われていた。


こんな所に住んでいるのかと胸が苦しくなる思いだった。


息子は私たちのために一日プランを立ててくれた。


昼間は観光地巡り。 夜はおしゃれなイタリアンレストラン。 デザートプレートには「お父さん、お母さん、ありがとう」 その後は夜景のきれいなバーと、楽しい一日を企画してくれた。


息子の優しい気持ち、何とか私たちに自分のやっていることを理解してほしいという気持ちも理解でき、「この1年は休学して精一杯やるように」と伝えた。


突然の帰宅

2021年8月。突然息子から「今日帰ってもいい?」と電話があった。


何もこちらからは尋ねず、ただ見守る日々。


その後、息子から「毎晩深夜まで続くミーティングによる隣人とのトラブルや、稼げない毎日に不安がこみあげ、脱出したい衝動にかられた」と聞く。


そして、あることから消費者金融からの借金が発覚。


X社幹部の会社の社員であると偽りの申告をして借りたことも分かる。


家賃、光熱費の滞納も発覚し、この状況は健全な自立とは言えないと伝えると「分かった。K市には戻らない」と。


しかし、安心したのもつかの間。


X社主催の関西でのリアル会に参加後、帰宅すると部屋にこもり家族と口をきかない日々が始まった。


「X社のトップのそばに住む意味がある。色々と直に教えてもらえる機会がある。」と、10月初旬に再びK市へ戻っていった。


その後、時折連絡すると返信はあったが、再度LINEをブロックされ、今に至る。


今はどこでどうしているのか不明。


4月から復学の予定だったが、まだ連絡はない。


今の心境

「権利収入などの話は一般企業とは全く違う次元の話なので、親には理解してもらえないので話しても無駄」などとトップC氏は語っています。


C氏は息子にとって尊敬する教祖的存在なので、私たちが魂こめた深い話をしても聞き入れてもらえませんでした。


息子も、それまでは何とか親に理解してもらいたいという気持ちや不安があったと思いますが、家族と離れ、仲間に囲まれて暮らしたこの半年で完全に吹っ切れてしまったように思えます。


X社では、退学、退職など目立ったことをすると、仲間内で激励されます。


息子は「若いのにしっかりしてるといつも褒められる」「みんな常にポジティブで、否定がない」と言っていました。


根拠も責任もない激励で一時の不安が打ち消されるようです。


子供や孫のいる年配の会員が「一度きりの人生だもん、吹っ切れよう!」などと会員にツイートしているのを見ると、「あなたは自分の子供、孫にそう言えますか?」と尋ねたくなります。


「X社の人はみんな人生を楽しんでいる。お母さんは幸せそうじゃない」「否定的なことばかり言う」と言われます。


息子が家出してから半年、毎日声を出して泣いた日々でした。


今も息子のことを考えない日はありませんが、自分の人生も考えなくてはと自らを鼓舞する日々です。


落ち着いてきた今も、卒業・入学式シーズン、学生と親の姿を見ると涙がこみ上げてきます。


どうしてこんなことになってしまったのか。


息子の弱さ、クリティカルに物事を考えられない面など本人に問題があるのは承知しています。


でもそれをうまく利用し洗脳する人たち、家族の分断を促す人たちは許せません。


何をどうしていいか分からない。でもこのまま何もしなくていいはずがない。


多くの家族の悩み、苛立ちだと思います。


この会に出会い、同じような状況の方々がいることを知り情報を共有できる。


それだけで心が軽くなりました。


ただ悩み苦しむだけでなく、何をしたらいいのかしない方がいいのかなど、前向きに考えられるようになりました。


会の立ち上げに心から感謝しております。

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