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執筆者の写真Rio

Vol#3 元最高ランク会員、上位ランクからの景色は地獄

更新日:2022年10月14日

このような方にオススメ

  1. 高収入・高ランクをめざす会員の方 →今の活動に対し考えるきっかけになれば

  2. 上記会員の親族の方 →事例の1つとして会員と話をするきっかけになれば


プロフィール

10年以上続いたマルチ人生

私が会員になったのは、元夫が転職したばかりでお金がなく、子供が小さくて働きに出られなかった貧困のころ。


「教えてあげたい話がある」と友人から連絡があった時には「マルチ商法の勧誘かな?」と思いながらも、聞くだけ聞こうと思ったのがマルチ人生の始まりだった。


非日常的なマルチの世界

お茶会やセミナーで見る景色はとてもキラキラしていて、節約しながら子育てしている私にはとても魅力的だった。


どこにでもいそうな普通の主婦が、次に会った時には流行りの服を着て「家族で海外旅行に行く」「ハイブランドのバッグを買う」など目を輝かせて夢を語っている。


ハイブランドのバッグを持っている人、ビシッとスーツを着ている人、ロングドレスを着てパーティーに参加したときの写真を見せる人。


普通に生活していたら出逢うことのない人たちに囲まれて、いつか自分もそうなれるかもしれないと夢を見ていた。


特に魅了されたのは、最高ランクを獲得して「月収100万円稼いでいる」という自分よりも若い女性。


「今月100万円使っても、来月も100万円入ってくるんだよ~!」

明るくて綺麗なその若い女性は話もうまく、高級外車に乗り、持ち物はすべてハイブランド。


生活に疲れている主婦たちをあっという間に夢の世界に引き込んでいった。


そんな話を聞いて、自分も今の苦しい生活から解放されたいと思うようになり、ビジネス活動に力を注ぐようになった。


でもその若い女性はそれから3〜4年後にビジネスをやめてしまった。

理由はわからない。



毎日が楽しくて仕方なかったころ

ビジネス活動は初めてのことばかりで、平凡な毎日を過ごしていた私には刺激的で楽しかった。


自己啓発セミナーに参加して人格者になった気分になり、自分たちは特別な人間だと錯覚していた。


勧誘した人が仲間になり「教えてくれてありがとう」と感謝されながら、パンプスを履いてさっそうと歩く自分は、ビジネスウーマンのようで気分がいい。


朝から夕方まで勧誘やセミナーへ行き、夕方は1度家に戻り家事をして、夜はミーティングに参加する。


活動時間に見合わない報酬でも、ビジネスをやっているという感覚だけで満足していた。


「頑張ってるね」「すごいね」「あなたなら成功できるよ」という言葉で魔法にかけられていた。


この頃は周囲から批判されても何も疑うことなく楽しい毎日を送っていた。



家庭崩壊は時間の問題

しかし、人生を成功させるために始めたビジネスのはずが、家庭内はグチャグチャだった。


朝から夜まで出かけているため家事はおろそかになり、普通に生活するだけでも苦しかった家計は活動費で火の車。


元夫はマルチ商法をやることに反対はしなかったが「好きなようにすればいい」と無関心。


家計を元に戻すため、自分がもっとお金を稼がなければ・・・と躍起になり、無理なランクアップをして50万円の借金をした。


家庭はうまくいっていないのに、マルチ界では「すごいね」「さすがだね」と褒められるため逃げ場になってしまい、家庭の問題から目を背けるようになった。


元夫とは、ビジネスを始めて3年たったころ離婚。


その後、もっと稼がなくてはとさらにビジネスに没頭し、臭いものには蓋をして都合のいい情報だけに耳を傾けていった。


マルチ界では「シングルマザーで活躍するすごい人」と紹介されるようになった。



上のランクになってから見る景色は地獄

家族のため、大切な人のために真実を伝えなきゃと本気で思い、人生を変えたいと真剣にビジネスに取り組んできた結果、2000人を超えるメンバーと1000万円以上の報酬を得られるようにまでなっていた。


最高ランクを獲得し、全国表彰で上位にランクインすることが当たり前になった頃、気持ちに余裕ができたのか現実が見えてくるようになってきた。


ポジティブな言葉しか言わないはずのアップは、リーダーだけの場所では愚痴や不満ばかり言っている。


「すごいね」「頑張ってるね」とメンバーに声をかけているのに、陰では言いたい放題悪口を言っている。


「メンバーは褒めておけばいい」「適当にすごいね〜と言っておけば頑張るでしょ」

と、耳を疑う言葉ばかりが飛び交っている。


トップリーダーの中でも足の引っ張り合いで、この先誰につくかで生き残っていけるかが決まるという雰囲気。


最高ランクという肩書は収入に関係なく「憧れるような存在」でなければならない。


そのためには、車、持ち物(服・靴・バッグ・時計など)、日常生活を高級志向にするよう圧力がかかる。


上の言うことに「YES」という選択しかできず、意見をしようもんなら変わり者として扱われ、セミナーなどに参加しづらくなる。

事実上の村八分だ。


村八分になってしまうとグループの活動にも支障をきたすため逆らうこともできず、理不尽でも従うしかなかった。


子どもの行事も、家庭の事情も優先させてはもらえない。


「あなた、最高ランクなのに何を言ってるの?」という言葉で終わり。


発言力を持ったリーダーについているときはまだマシだが、少しでも目をつけられると途端に立場が悪くなる。


仲間たちをうっかり信じてしまうと足元をすくわれるため、リーダー同士で顔色を伺いあっている。


何かトラブルがあっても誰も助けてくれない。アップでさえ知らん顔。


こんな人たちのどこが「一生の仲間」なのか?



マルチをやめてから現在まで、お互いに支えあい励ましあい、同志だと思っていた仲間から連絡がきたことは1度もない。



最高ランクでさえ稼げていない現実

私が所属していたマルチは他と比べると、タイトル維持の条件が比較的ゆるいほうだ。


それなのに、トラブルなどでやめていくトップリーダーたちは必ずと言っていいほど多額の借金が発覚していた。


最高ランクの月収は100万円を超えるといわれているのになぜ?


見栄を張ることや派手な生活をやめられなかったせいもあるだろうが、成功者(お金持ち)だと錯覚して金銭感覚がマヒしていたせいだろう。


最高ランクの人全員が月収100万円だと思ったら大間違い。


公開されている平均月収は、あくまでも理想の組織が作れたときの話であって、そんなうまい具合に理想の組織は作れない。


ほとんどの人が無理をしてランクアップし、その後は収入がガタ落ちして20万円も稼げていない最高ランクの人が多く存在する。


最高ランクとは名ばかりで、現状は稼げていないのに「月収100万円稼げるランクだよ」と言っているのだ。


最高ランクでさえ稼げていないのに、どうやってグループの人が稼げるのか不思議でたまらない。



マルチ商法をやめると決意した理由

やめようと思ったきっかけはたくさんあるが、ひとことで言うと「疲れた」の言葉に尽きる。

  • やめたいと悩んでいること

  • やめたいという気持ちを抑えてメンバーにいい顔していること

  • マルチ商法の情報は嘘なんだと気づき始めたこと

  • 信用できる人がマルチ界に誰もいないこと

  • この先もずっとマルチ界に縛られて生きていくのかと絶望したこと

  • いつまでたっても時間の自由がないこと

  • 上の人次第で状況が変わってしまうこと


本心と違う生き方をしていることに、心身ともに疲れ果ててしまった。

  • 今まで積み上げてきた実績(収入)が手放せない

  • 頑張ろうとしているメンバーを見捨てるのか

  • ランクアップに協力してくれた人たちに申し訳ない

  • 仲良くなったメンバーを裏切れない

  • 今まで偉そうに語ってきた言葉の数々が嘘になる

  • 無責任だと責められるかもしれない

  • やめてしまった後はどうなるの?

  • みんなになんて言われるんだろう?

  • あんなにすごいビジネスだと言ってきたのに・・・

  • 自分が本当はどうしたいのかわからない

  • やめることが怖い


いろんな不安や葛藤が頭の中で駆け巡ってやめることができない。


そんな苦しい毎日が1年も続いた。


でも自分に嘘をつき続けることができず、やめることを会社に告げた。


今は自分の気持ちに正直に生きることができ、時間・お金・思考も自由になったため、あの時辞めてよかったと心から思っている。



マルチをやめた直後

やめた後はスッキリ爽快な気分になるかと思っていたが、後悔と罪悪感におそわれて外に出られなくなってしまった。


ビジネス歴、メンバー数・収入が多かった分落ち込みがひどく、罪悪感で押しつぶされそうだった。


なぜもっと早く気付かなかったのか、なぜ信じてしまったのか、すごいと言われて有頂天なっていた私はバカだ・・・と自分を責める毎日。


「自分は加害者である」「とんでもないことをしてきた」という苦しさから解放されることはなかった。


自分の愚かさと向き合い、子供たちに淋しい思いをさせてきたこと・ツライ思いをさせてきたこと・間違った情報を伝えてきたことを詫びた。


「私たちのために時間と労力とお金をかけて頑張ってくれて本当にありがとう。でも、やめられてよかったね。」

と子供たちが言ってくれたとき、申し訳なさと感謝の気持ちで涙が止まらなかった。


現夫も何も言わずに支えてくれていた。



あの時私は何になりたかったんだろうか?


すごい自分にならなくても、本当に手に入れたい幸せが今ここにあることを実感している。



現在

時間とともにマルチ思考がうすれていき、自分を取り戻しつつあるころからマルチ商法についてのブログを発信するようになった。


1人でも多くの人にマルチの危険性&裏側を知ってほしい、マルチに苦しめられる人をなくしたいという思いからだ。


私と同じように、やめたいと思いながらも「商品がいいから」「仲間といるのが楽しいから」と自分をごまかしてやめられない人には、自分の人生を取り戻すためにやめる勇気をもって欲しいと思っている。


でも、1番の理由は自分のしてきたことへの罪滅ぼしかもしれない。


「マルチ被害をなくす会」を運営しているRioさんのnoteでアンケートに回答したことがきっかけで、Rioさんがマルチ商法の被害をなくすために活動していることを知った。


加害者の私が活動に参加することはためらったが、マルチの内情をよく知る私が被害をなくすために協力できることがあるならと活動に参加することにした。


活動を通して感じるのは

「マルチ商法で人生が狂ってしまうのは会員本人だけではない」ということだ。


マルチにハマっていく家族を傍で見ている人の悲痛な声は胸に突き刺さる。


自責の念に強く苛まれることもあるが、どれだけ悔やんでも過去は変えられないのだから、1人でも多くの被害者を減らすために活動したいと思っている。



Rioが思うこと

夢子さんにはアンケートに回答いただいたことをきっかけにお誘いし、色々な面で活動にご協力いただいています。


私たち会員の親族は、親族に何とか気づいてもらおうと、必死です。


しかし、頼れるものがほとんどありません。

藁にもすがりたい気持ちでいっぱいです。


そのため、会員だった方の経験を聞けたり、会員である親族の心理状態を想像できたりするのは、本当に貴重です。


夢子さんのご協力に、心から感謝しています。いつもありがとうございます。


活動にご賛同いただける元会員の方、もしよければ、元会員向けアンケートへの回答だけでも、ご協力いただければ大変嬉しく思います。

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