top of page
  • 執筆者の写真Rio

Vol#22 マルチ商法会社の「がんに効く薬」を信じ続けて亡くなった妹。最後まで搾取され続けた

更新日:2023年6月4日

プロフィール

  • インタビュー時期:2023.5

  • Nさん(30代女性)

  • マルチ商法との関係:ウィンメディックス社製品を購入(1年程度)

  • 状態:2020年5月、子宮頸がん1b の状態で製品購入を開始。2021年全身転移で死亡

  • お姉さまからの情報提供に基づき推移を記載


2020年5月 がんセミナーへの参加

妹はかねてから都内で開催されているビジネスセミナーに定期的に参加していました。

2019年8月とあるセミナーで勧誘者Hと出会い、2020年5月には「がんセミナー」に参加しました。

「がんセミナー」で妹をアテンドするとして紹介されたのが、勧誘者Hの友人W。

Wは株購入の管理責任者でした。

自身が過去に子宮頸がんを患ったこともあるようで、妹の気持ちに寄り添っているように見えました。


「がんセミナー」に参加した数日後、社長講演会に参加。会社の事業説明会の場で、将来展望について社長が話をしていたようです。そこで株購入の案内がされました。

1株1万円から。振込明細のスクリーンショット、振込金額、住所、氏名、メールアドレス(Gmailを推奨)、紹介者の情報などをLINEでWへ送付すると登録完了となる流れです。

元々妹は身内を癌で亡くしており、その際の医師の対応が悪かったので、妹は医師に対してトラウマがありました。

また、将来的には子どもが欲しかったので、子宮全摘出をしたくなかったと言っていました。

そこに付け込まれました。



「がんアドバイザー」Sとの出会い

同じセミナーで妹は芸人Sと出会いました。Sは自称「ガンアドバイザー」として、500-600名の癌患者やその家族のカウンセリング、アドバイスをしてきたようです。

がんのことなど何でも聞いてください、ということで、妹はSに対して都度ウィン社製品の服用状況や身体の変化を報告していました。


ヨウ素剤を服用し始めた頃、服用方法、食事内容、吹き出物は好転反応であること、服用する際のイメージなど、こまめに妹にアドバイスする様子が見えます。

一方で、服用を始めて2か月程経つ中で、「トイレの回数が増えた」「汗の匂いが少し変」「出血の量の変化」「眠気」「発疹が出た」などと妹は継続して報告していますが、Sからはこれといったアドバイスはありませんでした。


2020年7月。検査結果が思ったほどよくはなっていなかった報告を受けたSは、さらにウィン社とは関係のない商品で、「有機炭素治療」と呼ばれるものを案内してきます。子宮頸がんが4人中4人、100%で治っているとの情報つきでした。

その後は、妹の体調変化に対しても根拠なく「治ったのではないか」と度々反応していました。



ウィン社における仕組み(私の勝利日記、お客様窓口)

ウィン社では、他にLINEグループの仕組みもありました。


「私の勝利日記」と呼ばれるLINEグループでは、毎日日記をLINE上で提出し、管理栄養士であるアドバイザーに指南を仰ぐシステムです。妹も2020年10月に登録していました。中では日記に対して回答や栄養指導が行われています。とはいえ、癌患者のためというよりは汎用的なものに見えました。

また、そこでも先ほどのSに確認を求めたり、Sが直接コメントするなどの対応もされています。

他にも、お客様窓口のLINEグループもありました。

商品購入の入金確認や発送などの情報交換に加え、医学情報や社長白木茂に関する情報共有もされています。



2021.2ウィン社における食事方針の変更

年が明けて2021年。その後もSは定期的に「その後どうですか?」と妹に確認していました。

しかし、妹が詳しい症状などを伝えるものの特別なアドバイスはなく、病は気から、といった感覚的な話に終始していました。

2021年2月。食事に対するウィン社の方針が一変しました。元々ウィン社が推奨していたのは「玄米菜食」でしたが、真逆の「断糖食(肉、魚、ラード、バターなどがメイン)」を推奨してきました。私の勝利日記の中でもアドバイザーも戸惑っている様子が見えます。

妹も方針に合わせて断糖食に切り替えましたが、その後一気に体調が悪くなりました。

体調が悪くなっているにもかかわらずもう少し続けてみる、と頑張ってしまった結果、3月下旬には下腹部が膨らみ始めたようです。


そこで病院を受診し、腹水が溜まって多臓器への転移が見られることが分かりました。

4月に再度玄米菜食へ切り替えましたが、既に手遅れの状態でした。

この頃もまだ製品購入を続けており、Sにも変わらず助けを求めていました。


2021年6月。

妹が余命幾ばくも無い状態でもSは「光線パッチ」というものを勧めてきました。

そこで妹が私・妹・Sの3人グループLINEを作りました。


その頃妹は「気持ち悪くて嘔吐が止まらなくて苦しかった時に『神様助けて!』と心の中で願ったら、Sから連絡がきた。心配で連絡してきてくれたから、彼がこの苦しみから助けてくれると思った」と言っていました。

妹はこの時すでに緩和ケアの状態で、モルヒネを投与されていました。

妹は疼痛が辛かったようで、Sの勧める光線パッチが欲しいと言ってきました。

私がSに購入したいと言うと「直接取りに来てほしい」と私までカモにしようとしているのを感じたので彼からは購入しませんでした。

癌疼痛にはきっと効かないだろうとは思いましたが、妹の気が済むのならと思い、地元の整骨院で取り入れているところがあったので、そちらで購入しました。


購入前に整骨院の方にお話を伺ったところ、「筋肉痛や関節痛には痛みの軽減効果はあるが、癌疼痛は聞いたことがない」と仰っていました。使用しましたが、やはり痛みは取れませんでした。


ウィン社も最悪ですが、私には最後の最後まで搾取してきたこのSが一番質が悪い人間だと思いました。

グループLINEでは飽き足らず、個人的にLINEでメッセージも送られてきました。


そして、妹は亡くなりました。

妹が亡くなった後に彼女の部屋にロキソニンの箱がたくさんあるのを見つけました。

自分の体が悲鳴をあげて痛みが辛くて飲んでいたようです。


ウィン社や今回の妹の事件に関わった人たちを厳格に処分いただくようお願いしたいです。

Comments

Rated 0 out of 5 stars.
No ratings yet

Add a rating
bottom of page