Vol#15 元会員だからこそ発信できること
プロフィール
インタビュー相手:きま子さん(Twitterアカウント:きま子(@kimama_ko)、20代女性)
インタビュー時期:2022.10
マルチ商法との関係:元会員(会員歴:1年半程度、収入:年間数万円程度)
会社:ニュースキン(以降N社)
1. 声優になりたい
私には学生の頃諦めかけていた声優の夢がありました。
社会人でお金に少し余裕ができ、再度挑戦すべく上京して養成所に通うため副業を探していました。
そんなとき、高校の同級生万季(仮名)からのインスタのDMで連絡がありました。
「今何の仕事をしてるの?」「給料いくらくらいなの?」などと聞かれ、良い美容の副業があると話を持ち掛けられました。
万季とは学校では話す仲ではありませんでしたが、美容という自分の興味ある分野だったことから、何の疑いもなく話を聞くことに。
私は上手く話せないから友達が話してくれるとのことで、万季と、友達の明美(仮名)、私の3人でzoomで話を聞くことになりました。
このときまでに、ネットワークビジネスである旨の案内はありませんでした。
明美からはスライドで話を聞きました。
・資格を取ると稼ぎやすくなる
・資格の段階(以降グレード)とそれぞれ貰える月収の目安
明美は「私たち20代の子には大体40万円くらい貰えるこのグレードを目指してる人が多いんですよね」と言っており、上京も養成所も通えると当時は心躍らせていました。
そこで初めてビジネスの登録料がかかること(4,500円)、クーリングオフ期間があること(20日)を知りました。
そして自分が良いと思った商品を勧める方がうまくPRができると話があり、25万円ほどの商品購入を勧められました。
周りもそのぐらい買っているとのことでした。
金銭的に余裕がない旨を話すと「みんなカードで分割払いして買ったよ。3ヶ月後には沢山収入が入ってくるから、そしたら一気に返したらいいよ」と分割払いを勧められました。
その後「きま子ちゃんにぴったりな人がいる」と、私がなりたい仕事をしているという実咲さん(仮名)を紹介され、実咲さんに一緒に商品選びしてもらおうよ、とズルズル引き込まれていきました。
(なお、会社概要や資格の話はセミナーで聞くことになっていますが、日時が合わない場合は私の事例のように3人でzoomを組み、熱が冷めないうちに短期間で話をする流れになっていました。セミナーで聞く時にも、開催前後で近しい感覚の人や共通の趣味を持つ人と話す時間を設けて親近感を沸かせ、話が入ってきやすいようにワンクッション置く事が殆どです。また、N社のことを前もって伝えると調べられてしまうので、セミナーの直前に会って伝えていました。)
商品選びをしてもらった次の日には、明美が「一緒にカートに入れよう!」と商品選択から購入まで一緒に行い、「届いたら一緒に開けよう、使い方教えるね!」と言われました。
(これも一見親切に聞こえますが、カートに入れるのは大きな金額の買い物の為、途中で不信に思い、新規会員が自分で買うことを躊躇うことを予測して阻止をる為。
一緒に開ける・使い方を教えるというのも、開けてしまうと返金対応やクーリングオフの対象外になることから、それを避ける為だったと考えられます。)
2.会員になり立ての頃
登録した後初めて声をかけた友達は、この業界から引き留めようとしてくれました。
「みんなの実際の給料などを聞いておかしいと思ったらすぐに辞めな」と言ってくれましたが、給料は普通に昼の仕事ぐらいもらっているとの答えでした。
その後ネットでN社について調べましたがいいことは書いておらず、ネット記事のスクショを万季に送りました。
しかし、「ネズミ講じゃないしマルチでもない。ニューヨークに上場もしている。私たちを信じて欲しい。きま子ちゃんも不安だと思うから、明美ちゃんに色々聞こう!」と言われ、万季、明美、私の3人で話を聞くことになり、上手く丸め込まれてしまいました。
3.徐々に洗脳されていく
マルチをやっている間は徐々に徐々に洗脳されていきました。
以下のような優先順位で、とにかく予定を作るよう教えられていました。
最初はえ?と思うようなことも、友達が・周りがやっているから大丈夫だとの謎の確信が、自分を狂わせていきました。
上京してからは特に、スケジュールをアップに監視されており、友達と会う前後は必ず連絡をしなければなりませんでした。
ハマっていたときの状況をいくつかに分けて記載します。
①活動状況
■セミナー
小規模セミナー(週2-3回、2時間程度)+大規模セミナー(月2度、1日程度)
セミナーへの参加はいつしか必須になっていきました。
稼ぎたければセミナー参加は100%。週に数回あるためどんどん洗脳され、参加しては必死にメモを取っていました。
お礼文や感想文を送らなければいけない時もありました。
家族旅行や友達の結婚式よりも、セミナーを優先するように言われました。
■セミナー外での学習
セミナーでは言えないような、実践的なノウハウや体験談が聞けるものです。
自分が苦手なものを企画したり、誰かの企画に参加したりしていました。
複数人あるいは1対1形式で会議室やカフェ、Zoomなどで開催していました。
いずれもお礼文を送ることが必須でした。
■友達と会う
まず、友達を下記のような専用用紙にリストアップしていきます。
名前 | 年齢 | 居住地域 | 職業 | 関係 | 信用 | パートナー | 性格・夢・不満など |
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用紙をアップに見てもらい、アプローチ方法にアドバイスを貰い、その通りに連絡をとっていきました。
友達とのやり取りもアップに共有しどう返信するか聞いていました。
始めたばかりの頃は友達とのトーク内容のスクショをまるまるアップに送るなど、内容はダダ漏れでした。
続いて、最初の連絡を取ります。連絡の取り方は様々。
話していない友達が殆どですので、色々な手段で連絡していました。
⦿インスタのストーリーで反応
(例)
・ご飯の写真→「それどこのお店ー?!」
・顔の写真→「めちゃ可愛い!!」
・映画→「それ気になってたんだけど面白かった?」
・なんて送ればいいか分からない→ハートで反応
⦿LINE
(例)
・誕生日出てくる→おめでとうLINE
・スタンプ送る→ごめん間違えちゃった!
・電話ワンコール切り→ごめん間違えちゃった!
・いきなりごめんね!今日あなたに似た人を見かけたんだけど、もしかして居た?
その後友達と会う・電話で話す時は、長くても2時間程度に収めるように言われていました。
・2時間以上会うのは時間の無駄。会う時間よりも会った回数が大事
・会った時は節約の為、1番安いコーヒーを頼んだ方が良い
など言われていました。
私自身は自分からご飯やお茶に誘っておいたのだからと、お金は無かったのですが普通にお茶・ご飯・呑みに行っていました。
話す内容は、最近の状況や仕事のこと。
仕事で嫌なこと