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Vol#24 30年ギャンブル依存症の妹を救いたい

執筆者の写真: RioRio

先日菊池真理子さんの『うちは「問題」のある家族でした』が発売されました。


その中で触れられて改めて怖さを知ったギャンブル依存症。


マルチ商法にハマった人の課題解決をめざす上で、時折キーワードとしても出ていました。


なかなか身の回りにいなかったのですが、仕事の同僚と1on1する中で、ギャンブル依存症の方を身内に持たれた方(Aさん)の話を聞くことができました。

そこで伺った内容を基に記事にまとめました。


ギャンブル依存症になった妹

Aさんの妹さんは30年ほど、ギャンブルに依存されています。


両親が離婚し、寂しさに暮れる中、非行に走り、高校を中退。その後ギャンブルに依存されたとのこと。


「妹は子供(娘2人)もいて4人家族でした。入社後もずっと生活費が足りないと連絡が来ており、私はたまに生活費を送金していました。今ではお金を貸したことを反省しています」


そのように語るAさん。お母さんも妹さんのために金銭援助をしたり、自己破産手続きを手伝うなど支援をしていたそうです。


妹さんのギャンブルへの依存が「ギャンブル依存症」という病気であると気づいたのは、ほんの3年ほど前

「きっかけは地元の新聞でした。ギャンブル依存症に関する連載記事を読んだときに、病気だと認識しました。しかし、母から妹へ記事を手渡して読んでもらったのですが、妹の反応は「私はギャンブル依存症じゃないよ」と冷静な反応。私は妹の言葉をそのまま信じてしまいました。」


ですが、その後も姪っ子である妹さんの娘さんから「お母さんは今でもパチンコに行ってるよ」と聞いて、ギャンブル依存症であることを認識。本格的になんとかしようと動かれたと話していました。


「妹や母、姪のために解決したいという想いもありましたが、何よりも自分の故郷・実家を大好きな場所にしたかった。その想いが原動力でした」


そのように語るAさん。そこからAさんは妹さんをギャンブルから脱却させるための方法を考える日々が続きます。

自治体や保健所に連絡を取り、姪っ子さんと一緒に自助会にも参加。大学教授のYouTubeを見るなど、ギャンブル依存症の治療に向けた勉強をしたと話すAさん。「妹の治療のための病院も探しました。お金も出すつもりだったし、妹を騙してでも病院に入院させようと考えていました」


調べた結果を家族会議を通して相談したところ、妹さんは病院に行ってくれたものの、ギャンブル依存症ではないと話されていたそうです。

しかし、無事病院の先生とウマがあったのか、その後も定期的に通院した結果、ギャンブルも現在はおそらくやっておらず、お酒も飲まなくなったとのこと。今でも定期的に通われているようです。


さらにAさんはギャンブルから妹さんが離れられるよう、別の取り組みも実施します。ギャンブルよりも夢中なものを見つけるために、スワッグ作りに一緒に挑戦することに。ワークショップに連れて行ったところ、妹さんがどハマりしたとのこと。今では近くの道の駅で妹さんが作られたスワッグが売られているそうです。


スワッグ
スワッグ(https://minne.com/mag/articles/2322 より)

「収入があっても食べていけるほど稼げているわけではありません。しかし、妹は「好きなことを好きなだけできる。本当に幸せだ」と話していて嬉しかった。自分と比べて羨ましくさえあった」


妹さんは無事にギャンブル依存症から少しずつ離れられていて本当に良かったと思います。別の趣味に没頭させる、病気と認識し、本人の病院での相談と周りの家族の心身ケアなどをセットでやられている仕組みがあって良かったです。


呆気なく書いていますが、裏には30年に渡り妹さんがギャンブルにハマっていた事実があります。妹さんの姪っ子さん2人も「(母を)殺したい」とさえ言われていたようです。長い年月の中で多くの苦労をお子さまも味わわれたのだと思います。


当時を振り返ったAさんは、

「妹にお金を貸してしまったことに加えて、暗闇の中にいた妹の苦しみや寂しさに向き合い寄り添ってあげられなかったことに強く後悔を感じています。これからは同じ苦しみを抱えている人を1人でも減らすために、自分の経験を活かし今後何か出来ることがないか考えていきたいです。」

と話してくれました。


加えて、Aさんが最後にポロっと「私にとって一生の課題だった」と言われていたのがとても印象的でした。家族にとって、身内に問題を抱えている人がいると、仮に絶縁などしても、一生重荷を背負っている感覚になる。そのような問題を家族のものとして閉じず、第三者がサポートできる環境が少しでも出来上がることを心より願っています。


話を聞いて

きょうだいという立場から、妹さんの病気の治療に尽力し、結果1つの家族の問題が解決した様をお聞きできて心より嬉しかったです。


一方で、身内のためにだけでなく、自分の大好きな故郷を守りたいという原動力こそが、Aさんの行動を支え続けたのだろうと思います。素敵な話を聞くことができ私も救われた気がしました。


また、普段マルチ商法の会員親族の話をメインに聞くことが多かったのですが、類似する課題に家族の立場から立ち向かわれた方の話を聞くことができて本当に勉強になりました。家族が何かにハマってしまう、という意味で抱える苦しみはそっくりなんだと思いました。


Aさんは妹さんがギャンブル依存症という病気で治療が必要なものであると気づくことが最も難しかったところだと話していました。先日の菊池真理子さんの本でも同様の話が出ていることからも、まずは周りの人がそうした課題に気づくことが大事であることを改めて思い知らされました。


家族だけで捉える問題としては非常に大きいため、外部の力を借りて解決まで繋がる仕組みが出来上がっていることを、ギャンブル依存症の方を親族に持ちつつ苦しんでいる人に1人でも多く伝わってもらいたいと思います。


そして、気づいたきっかけが新聞の特集だったということからも、発信の重要性を改めて認識しました。親族がマルチ会員であることの問題は、もっと世の中に知られていないと思いますし、色々な媒体を通して発信を続けること、私も続けていきます。

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